紙14『輸入紙あれこれ/海外の特殊紙メーカー』

10月 26th, 2009

前回は国内の製紙メーカーをピックアップしながら、各社の抄造している特殊紙を紹介してきましたが、今回は海外特殊紙メーカーを取り上げてみたいと思います。

調査がてら各社のサイトを見ていると、日本には入ってきていない紙にも面白いものがけっこうある……! ということで、役立つかは分かりませんが各社webアドレスも併せて。

◎[Gmund:グムンド]ドイツ
「いかにも特殊紙かつ輸入紙」という紙をいろいろ製造している、ドイツのメーカー。分かりやすいところだとパールのキラキラ系で人気のある、トレジャリー、リアクションを作っている会社です。タチアナ、ヴァランティノアズなど布地っぽいテクスチャが得意なのかも……?

他にはバスケットボールの表面みたいなアレザン、ビールファイバーを混ぜ込んであるビア・ペーパーはお国柄も感じさせます。紙以外にステーショナリーも販売しており、日本では銀座 伊東屋の4F in Shopでゲットできるはず。
http://www.gmund.com/

◎[Arjowiggins:アルジョウィギンス]フランス
高級ステーショナリー紙のコンケラーシリーズ、水彩紙で名のあるアルシュなどハイクオリティペーパーを製造している、フランスのメーカー。キュリアスシリーズ(カラー半透明のTLや、パールのIR、メタルなど)も製造しています。キュリアスは残念ながら、国内の取り扱いカラーが半減してしまいましたが……。

日本では株式会社ヤマトという代理店が入っていて、コンケラーを使用したステーショナリーデザインコンテストも開催しています。今年は11月10日まで募集している様子。興味のある方はチェックしてみては。
http://www.arjowiggins.com/
▼コンケラー・デザインコンテスト 2009-2010
http://www.con2009.jp/

◎[Cordenons:コルデニンス]イタリア
日本で主にお目にかかるのは、どちらもインパクト大なプライクとスタードリーム。近年有名になったプライクはぬめっとした表面のコーティングが特徴。日本には入ってきていませんが、グリーンやグラファイトなんてカラーもあるんですね。スタードリームは色数豊富なパール紙。さすがのイタリアメーカーというか、目立つ紙が上手いです。

サイトに各国のディストリビューションしている会社が出ているのですが、ここ見ると世界の紙の輸入代理店が分かりますね(笑)
http://www.gruppocordenons.com/

◎[Neenah:ニーナ]USA
布地のような質感のエンボスを加えたクラシックリネン、Eames Officeとコラボレーションしたイームズなどを作っている会社です。

2007年にエバーリーブやゲインズボロー、テトンなどのコットン配合紙を多く製造しているフォックスリバー社(Fox River)を統合。和風の渋いカラーで日本でも好まれそうな再生紙、フェイズ2もフォックスリバー製です。
さらにクレーンクレストなど、100%コットンの高級ステーショナリー紙を作っているクレーン社(Crane)とも提携しています。
http://www.neenahpaper.com/

◎[Iggesund:イグスンド]スウェーデン
パッケージ板紙として人気のある、インバーコートシリーズを製造しているメーカー。林業との連携にも力を入れていて、デザイナー向けに林業を知るための講習会や、手すき体験も行っているようで羨ましいです……。日本でもどこかやらないでしょうか。
http://www.iggesund.com/

他にもステーショナリー紙系のやストラスモア社、もこもこ起毛のヴィベール社、メタリックでよく見るザンダース社など様々な海外メーカーの紙が日本でも流通しています。面白いのは、これらのメーカーは決して世界の売上高ランキングで上位に食込んでくる会社ではないということ。限られた目的で使う個性的でニッチな紙ほど、グローバルに流通してるんですね。

制作するときに「国で選ぶ」要素も加わってくると、少し見え方が変わってくるかもしれません。

印刷13『見える見えない/インタラクティブなインキ』

10月 15th, 2009

印刷の余白Lab.の名刺残数が少なくなってきたため、新しいものに作り替えることにしました。

毎回、印刷サンプルも兼ねて制作されている印刷の余白Lab.の名刺。ここしばらくは、箔のテストも含めて箔を押したものが多かったのですが、見た感じをシンプルにしたいのと「刷り」のネタを増やしたいと思っていたので、今回は両面単色オフセットのみ。それも、ぱっと見では片面モノクロの名刺に見えるようにしてみました。

まとめた仕様が以下のような感じです。

|用紙:きらびき SR-180 → http://bit.ly/F75kS
|印刷:表1C:ブラックライトインキ / 裏1C:墨

ブラックライトインキとは、通常は透明で、ブラックライトを当てたときだけ色が分かる透明の蛍光インキです。つまり片面は通常の状態では白紙に見えて、ブラックライトを当てたときだけ発光して見えるということ。お札やチケットの偽造防止にも使われたりします。(多いのはブルーやグリーン発光ですが、他のカラーもあります。)

しかし通常は透明……といってもインキが乗ってはいるわけですし、どのくらい見えないもんなのか、気になります。その確認も兼ねて今回は自分で使ってみました。渡すときにちょっと面白いですよね。(つまり名刺渡すときLED持ち歩かないと……笑)
と、言いつつ実はまだ完成前。経過はまた報告します。

さて、こうした「ある状況下で見えの変わるインキ」は他にもあり、インキを変えることで色を刷るの以外にも様々な効果が出せます。オフセットに対応していないもの(スクリーン印刷のみなど)もありますが、下にいくつかご紹介します。

◎フォトクロミックインキ
紫外線で可視化する、あるいは色が変わるインキ。ブラックライトインキとの違いは太陽光などにも反応し、紫外線量によって濃度が変化します。

◎蓄光インキ
光を吸収し、暗闇でぼやっと光るインキ。ベースが乳白色のため、明るいところでも印刷されているのが若干分かります。インキ層が厚いほど蓄光効果は強くなります。やはりメジャーなのはブルーやグリーン発光。

◎示温インキ
暖める・冷やすなどすると、色が現れるたり消えたりするインキ。色が現れる温度・消える温度はある程度コントロールができます。マグカップで温度によって絵柄の変わるものなどはこれです。

◎フリクション印刷
白い面を鉛筆でこすると、カーボンがくっついて絵柄が現れてくる印刷方法。インキが特別なものではないのですが、マット剤を透明メディウムに混ぜて印刷します。

同じ印刷機を使っても、インキを変えると様々な効果を出せるのが印刷の面白いところ。しかし機能性インキに慣れてない印刷所では扱いが難しい場合もあります。こういうジャンルで小回りをきかせてくれる印刷所、私も渇望しているのですが……まだまだリサーチが足りないところかもです。