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紙08『植林事情/製紙会社はコアラに優しい』
製紙会社にとって紙の生産と切っても切り離せないのが植林です。企業の社会的責任が問われるなか、大手製紙メーカーのほとんどは、林業をはじめとする環境への取り組みを行っています。今回は紙づくりの舞台裏、植林について考えてみたいと思います。
で、なぜにこのタイトルかというと、コアラが食べるので知られる「ユーカリ」。製紙用の植林の多くは、このユーカリなんです。
ユーカリが植林に選ばれる理由は、なにしろ成長が早いこと。
10年ほどで直径20cm、高さ20~25m。製紙原料として伐採するのに問題ないくらいの大きさに成長します。スギやヒノキなどの植林が伐採までに4,50年かかると言われているのに比べるとすごい速さ。
かつては広葉樹のユーカリから作った紙は繊維が短く、表面強度が弱いため扱いづらかったようですが、現在は製紙技術がよくなり問題なく木材パルプとして使用できるようです。
また、製紙にはあまり関係ありませんが、ユーカリから取れる精油には殺菌作用や鎮静作用があるとされ、香り成分はアロマテラピーにも使われています。さらに根が長く地下水を引き寄せる力が強いため、砂漠の緑化にも用いられます。なんとも多用途な樹木ですね。
話を植林に戻しますと、実際に植えられている所の多くは海外です。日本は傾斜のきつい山が多いため、植える・刈る・運ぶだけで莫大な費用がかかってしまいます。そのためなだらかな土地があり林業の盛んなオーストラリアや、中南米のチリで展開されているようです。
製紙業の世界ランキングTOP10に入る「日本製紙」と「王子製紙」では、どちらも1990年ごろから本格的な海外植林を始め、いまやこうした環境活動が一大事業になっています。
海外植林について興味深い記事があり、環境gooでの王子製紙 海外植林部長のインタビューで
(http://eco.goo.ne.jp/business/keiei/keyperson/20-1.html)
オーストラリアで植林を進めているのは放牧地(しかもリース)が多いこと。土地を借りるために現地法人を立ち上げていること。その放牧地は林だったところを土地の方々が切り開いた場所のため、「また元に戻すのか」といった反対を説得しながら進めている話が取り上げられています。
植林ひとつでも、様々な産業情勢やローカル要因と絡み合いながら進められているのだなと改めて思います。
さらに調べていくと驚くのが、ただ植林を進めているだけではなくバイオ事業への展開。精英樹を増やして、より成長が早くパルプ化しやすいユーカリ林をつくるため、ユーカリのゲノム解析や優良なクローン苗の開発も行っているんですね。
他にこうした研究から出てきたもので、高度な遺伝子組換え技術を応用した糖尿病治療・花粉症緩和効果のある米の開発。ユーカリの成分を活用した抗菌剤なんかも作っていたり、育種研究が発展してハタケシメジの人工栽培に成功してしまったり、うーん、面白いです。もはや製紙と関係なくなってるし……。
(王子木材緑化から生み出された製品たち→ http://021514.com/)
しかし製紙を通して環境を考え、パルプ生産のために植林するのでなければ「ユーカリ」という選択肢はなかったかもしれませんし、まさかユーカリも人間が紙を使い始めたばっかりに繁栄させられるとも思っていなかったでしょう(笑
そのうち製紙メーカーのイメージキャラクターにコアラが使われる日が来るんじゃないかと勝手に妄想を膨らませています。
「日本製紙 Tree Farm 構想」
http://www.np-g.com/forest/treefarm/
「王子製紙 環境への取り組み」
http://www.ojipaper.co.jp/envi/