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印刷09『ナニで刷る?/印刷マテリアルから考える』
しばらく様々なニスの紹介などしていましたが、今回はもっと大局的に「彩色するマテリアル」の側から、印刷について考えてみたいと思います。
例えば、オフセット印刷なら「インキ→液体」で刷るというように素材に注目してみましょう、ということですね。
ざーっくりと下記3つに分類してみます。
A:インキ(液状/ジェル状)
色のもとである顔料を、溶剤に混ぜ伸ばして彩色するのが「インキ」。
オフセット、スクリーン、活版印刷など、色を刷る素材の代表格はインキです。ちなみに日本では、
筆記用のものは「インク」
印刷用のものは「インキ」と呼ばれることが多いです。
インキは液状のため、紙に浸透します。よってコーティングされていない吸水しやすい紙は、紙がインキを吸ってしまって、全体的に「色が沈む=くすんだ発色になる」「色が転ぶ=インキの色通りでなく、赤みや青みを帯びたり色相がずれる」現象が起こります。
また乾かす工程が必要なため、自然乾燥に頼るインキだと紙によっては「乾きが悪くなる」、最悪乾かないケースもあります。そのような場合は、紫外線硬化するインキを用います。
B:トナー(粒状)
トナーは、ミクロのプラスチック粒子に顔料をくっつけた粒でできています。この粒子を静電気を利用して紙に付着させ、熱を加えて定着させます。
レーザープリンタや、オンデマンド印刷と呼ばれるもの(質が良く高速なレーザープリンタ)、あとはコピー機もトナーを使った印刷方法です(なのでこれらの扱いには電流と高熱に注意が必要です)。
インキと違い、紙の表面に貼り付く感じでにじみは起こりません。が、平滑でない紙だとかすれたり、表面を覆ってしまうので、元の紙の質感が生かせないこともあります。
また「ベタ面を均一に印刷したり、グラデーションを再現するのは苦手」なため、わりと安っぽく見えてしまうことがあります。
乾かす時間が要らないので「今すぐ欲しい」場合に対応できます。
C:箔(フィルム)
箔押しの解説の際にも書かせていただきましたが、箔押し用の箔はロール状のフィルムになっています。フィルムの表面に金属粒子と顔料(顔料のみの場合も)の層があり、それを紙に転写します。
フィルムから転写するという方法に注目すると、インクリボン式のタイプライターなんかも同じ部類に入るかもしれません。
最大の特徴は「金属光沢が出せる」ことですが、それ以外に「地の隠蔽性が高いこと」「植毛紙など、インキやトナーの乗せられないものにも印刷できること」など、箔でないと表現できないケースもあります。紙の地色に左右されないので、色合わせはしやすく、紙以外にも、木・革など様々な素材に加工可能です。
箔は熱でプレスしてくっつけるため、熱に弱い素材や激しい凹凸のある素材には向きません。また、細か~い文字など、精密な表現は苦手です。
そして印刷と少し違いますが、写真のように化学反応で像を「焼き付ける」のも、彩色するひとつの方法と考えられます。
紙の上に色を乗せるのでなく、「事前に紙に含まれた(塗られた)薬品を変質させて発色する」ため印刷とは区別されますが、小部数の紙ツールとして上手く使えば、効果的なアイテムになるはず。
通常はオフセットだのオンデマンドだの、印刷方法を考えるところから入るので、意外にこうした観点で考えることって少ないかもと思い、今回は素材別で取り上げてみました。
質感の出し方は紙だけにあらず。刷る方からも素材を考えていくと、より質感を意識した印刷方法が思い浮かんでくるのではないかなと思います。