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まるおさんとときどきテロリストなおはなし(前編)
__このメルマガを読んでくださってる方々には編集者もけっこういらっしゃるのですが、現役編集者に登場いただくのは初めてですね。今回はイースト・プレスのまるおさんとおはなしです。
まるおボイスが取れてるかどうか心配……__
声はります。
__お願いします(笑。まるおさんは往年の名作を文庫マンガ化した『まんがで読破』シリーズやコンビニ本など、いわゆる雑誌・単行本じゃないジャンルの編集をメインでやっているんですが、そのまるおさんが小説単行本『かれ、ときどき、テロリスト』(佐伯紅緒 著)を出版。ってことで前編はこの本の話をしようかなと。編集歴10年くらいあると思うんだけど、小説本は初?__
文芸小説初めてですね。
女性に読んでほしいです。
男性でも良いんだけど、女性に何かしらバチンとくるものがある話だと思うので。
__若干自分の実話に近いところがあって、あまり客観的な感想が持てずにいるんですが(笑。
色々な読み方ができる小説だと思います。「恋愛小説」でもあるし、『天皇ごっこ』および著者の見沢知廉のオマージュだったりするし。というか本当はこれ右翼系・半ノンフィクションですねー。
(※ここから2人とも前述の読者であるという前提で話します。)
もともと作品が先にあったんすか?__
半ノンフィクション要素については、鈴木邦夫さんblog『鈴木邦夫をぶっとばせ!』の書評を読んでもらえると良いかと(長いけど)。
→ http://kunyon.com/shucho/090720.html
著者の佐伯さんは知合いのライターに紹介してもらったのがきっかけなんですけど、10年くらい出せていない原稿があるって言われて、渡された原稿がもろ見沢知廉の話だったから、偶然。著者自身が見沢知廉の弟子なんですよ。
もともと佐伯さんはこの作品でデビューするはずだったんだけど、他の出版社で出す予定が出せなくなって、8割くらい完成してた話をうちで出させてもらって。
__そうかー、見沢知廉ファンのまるおさんの趣味で書いてもらったとしてもできすぎている! と思って(笑。臨場感ありすぎだもの。
内容は、懲役10年の元囚人で右翼テロリスト作家のユキオちゃんと、普通の、でもなんとなく社会に折り合いをつけられないで生きているノリがユキオちゃんの「活動」に巻き込まれていく話なんだけども、恋愛というか、ただ異質なものが寄り添っていて、結局クロスしない世界なんだけどお互いに見守っているというかね。なにもかも片付けられないユキオちゃんが、祈りに関わることだけは整然としてるのもしっかり描かれてて、小説として普通に面白かった。__
僕よりちゃんと読んでる(笑。
最初は思想系の人もターゲットにしてたけど、見沢知廉を知ってる人がもうあまり居ないし、そこに売れても広がらないと思ったから、その線を一回捨てたんですよ。何も知らない人が読んでも面白い話だと、内容的には思えたから、見沢知廉って冒頭にチラっと出しただけだし。
それ、売り方として一番危険なんですけど。「エンターテインメント小説」って言われて買う人っていないでしょ。ゼロだと思うんですよね。なにかしらウリ、というか、引っ掛かりがないと売れない。ベストセラー連発の著者でもないし、いろんな人が良いって言ってくれないとこういう本は売れないから、まだ危険な状態ではあるんだけど。
__そうだね、どうすれば出会ってもらえるかは難しいかも……。しかしミムラさんと、なにより書店員さんのオビ文がすごい。絶対この人たち素人じゃないもん。(※イーストプレスのwebにオビ文あります→ http://www.eastpress.co.jp/shosai.php?serial=933)__
みんな業界では有名な書店員さんたち。すごい頑張ったんですよ。営業と一緒に書店をまわって書いてもらって、ふつうの本だとここまでしません(笑。
ミムラさんも、映画になったらミムラさんが主人公だといいなって。渡辺ペコさんも頼み込んで、この装画で出すために発売遅らせたりしたから……。
途中でもう(売れるのかどうか)不安になって。
タイトルもはじめは『悪童観察日記』だったんだよね。そのあとが『憂国狂想曲』(笑。
__それ逆に危ないよね!__
最初は思想系の人に手に取ってほしいと思ってたから。本をつくるときは、最低限この層には売れるってのを確保して作るもんなんですけど、今回はそこが見えてるのに、それを表に出してないっていうチャレンジをしてて。
だから鈴木さんのblogコメントが本当に嬉しいのは、これで初めて元のターゲットの人たちも気付いてくれるから。だいぶ、安心。ラッキーというか、鈴木さんさまさまです。
__うん、補足事項も全部書いたみたいになってて、お見事。ちなみに他のまるおタイトル案、なかでもひどいやつは?(笑。__
タイトル案は50案くらいあったんだけど、ひどいのは、『火炎瓶の恋人』『運動不足の恋人』『セミの声はミュージック』『暗闇の中の恋人たち』『ドキドキテロリストパニック』とか……。フザけてるつもりは全然ないんですが…ダメダメですね。。
__にしてもひでえ! そのタイトルで出なくて良かったよ……。__
マイケル・ジャクソンも、ジョージ・オーウェルも出てくるし、なんかあるのかもね。タイミング。難産だったけど話してたらさらに良い本に思えてきた。
__ほかにも面白エピソードは他にもあるんですが、それはオフの話のネタにしよー(ふふふ)。
もし興味をもたれて読んだ方は、Amazonとかに感想書いてあげると編集長ウォッチしてるので喜ぶと思います。「なんか普通の恋愛ができない」と思ってる女子とかにもおススメかと(笑。
後編では『まんがで読破』や、まるお編集長像を掘り下げていこうと思います。お楽しみに。__
[文中の諸々リンク]
イースト・プレス→ http://www.eastpress.co.jp/
『かれ、ときどき、テロリスト』at Amazon→ http://www.amazon.co.jp/gp/product/4781601669/
佐伯紅緒さんのblog→ http://saekirouge.cocolog-nifty.com/blog/
鈴木邦男さんの書評(書評?)→ http://kunyon.com/shucho/090720.html
見沢知廉 on Wikipedia→
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%8B%E6%B2%A2%E7%9F%A5%E5%BB%89