紙12『とても小さな印刷の大敵/紙粉との格闘』

8月 13th, 2009

単色(とくに黒)を一面にベタで刷る。
かなり怖い仕事です。デザインを見た瞬間、緊張(笑。

色ムラが出るんじゃないか、重ねたときにブロッキング(裏移り)するんじゃないか……。いろいろ怖い要素はあるんですが、なかでも気になるのは「紙粉」です。

紙粉とは、紙を断裁するときに出てしまう繊維のチリのこと。それが舞い上がったり、静電気で紙表面にくっついたりして、さらに印刷機のローラーにくっついてインキの刷りムラ・白抜けを起こします。それが一番目立つのが、単色のベタ面印刷なんです。

紙粉は紙によって、出やすいものと出にくいものがあるのですが、表面が柔らかくラフなもの、とくにコートボールなどの厚紙は注意です。また、コート紙・マットコート紙など表面にコーティングがされている紙も、コート剤が剥がれてチリになるので、紙粉の量が多くなります。
紙屋さんでは、紙粉を除去するための装置を導入しているところもあり、心配な場合は紙粉除去していただくよう、言い添えておくと良いでしょう。

私も印刷のことを本格的に勉強し始めたころ、この紙粉に悩まされ失敗をかましたことがあります。
そのときは「最も白い紙」と言われる「ルミネッセンス マキシマムホワイト」に黒でベタを刷る、というもの。ルミネッセンスは、表面がパサッとしていて紙粉が非常に出やすく、インキを重ねれば重ねるほど、ツブツブしたチリの跡が出てしまったんですね。

小さくてほとんど目にも見えないのに、印刷してみると目立ったムラになる、なかなか厄介な存在……。
結局、印刷方法を根本的に練り直すことになり、胃の痛い思いをしたことがあります。

しかし、ふわふわでラフ感も強いのに、意外にも紙粉が比較的出にくい紙というのもあります。それは紙。和紙の繊維は一本一本が長いため、粉末状のチリにはなりにくいんですね。ただし非常に柔らかく表面強度が弱いものは、粉にはならないものの表面が「むける」ように剥がれてしまうので注意が必要です。

ちなみに表面が固めで、そこそこ厚みのあるものなら、レーザープリンタで和紙に印刷することもできます。インクジェットだと、インクジェット用のコーティングをしていない和紙はにじんでしまうので使い物になりませんが、野口は強度のしっかりした習字用の半紙にレーザー出力して使うこともあったり。なかなかいいアジが出るんです、が、でも選ぶ紙を一歩間違えるとプリンタが壊れますので、あまり推奨はできません(なら書くなよ……)。

印刷の上では問題ばっかりの紙粉ですが、画材店をふらついていて、この紙粉と同様のパルプ粉末が商品化されているのに気付きました。
見つけたのは日本画材コーナーの顔料素材。メディウムと混ぜて、半立体のように盛り上げたり、紙粘土のベースとして使うようです。確かに紙粉は100%繊維なので安全度が高く、軽く、吸水性があり、染色しやすい。他にもコンクリートの代替材料として再利用の研究がされていたり、ところ変われば役に立つものなんですね。

でも、やっぱり印刷には大敵です!


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