紙02『どっちつかずが良い感じ:ダルと微塗工の美学』

2月 12th, 2009

『どっちつかずが良い感じ:ダルと微塗工の美学』の話。

今回は少し硬派(?)に、特殊紙ではなく一般印刷用紙の話をしたいと思います。

出版業界の方はご存知と思いますが、一般印刷用紙(書籍や雑誌に使われる紙)も微妙な質感の違いや色味の違いで山ほど種類があります。正直、似てるものは見分けがつかないくらいですが、この微妙な違いにこそ製紙メーカーのこだわりがあるわけで……。

まず大まかに一般印刷用紙を分類する3つの軸は
『原料』『コーティング』『質感』です。

『原料』は元になる素材の質で[上質][中質]と分かれます。上質紙は成分に混じりっけのない紙(化学分解したパルプ100%)で、陽に当たったり年月が経ってもほとんど変色・変質しません。
中質紙は主成分の化学パルプに、木の繊維をすり潰しただけの機械パルプや、古紙、非木材などを混ぜたものです。長期間保存すると褪色(日焼け)してしまうのが難ですが、風合いある紙や不透明で厚みのある紙が作れます。
さらに下級印刷紙というのもあり、いわゆるわら半紙や漫画雑誌に使われるような紙をイメージしてもらえると良いと思います。

『コーティング』は印刷が乗りやすいように表面を薬品で塗工する作業です。コーティングしない[非塗工紙]から、コートの度合に応じて [微塗工紙][コート紙][アート紙] の順にグレードが上がり、印刷品質が上がります。さらにアート紙の上には印画紙のようなピカピカのツヤを追求したキャストコートという紙もあります。

『質感』はコート紙以上の塗工された紙に当てはまる要素で、表面の光沢の出具合です。光沢を出した[グロス]と抑えた[マット]に大別されますが、その中間[ダル]というジャンルもあります。

さらに白色度や不透明度といった要素も複雑に絡んでくるのですが、大きくは上質・中質紙をベースに、コーティングのグレードを縦軸、質感を横軸、として様々な一般印刷用紙が住み分けています。
(例:上質ダルアート紙、中質マットコート紙など)

うーん、これだけでもアタマぐるぐるしてきますね。
スタバのカスタマイズみたいなもんだと思ってください。「トールキャラメルノンファットラテ」みたいな。……全然違うか。

で、今回注目したいのは非塗工紙とコート紙の間の「微塗工紙」と、グロスとマットの中間「ダル」です。この中途半端な奴らが場合によってはとても魅力的なんです。

微塗工紙は紙そのものの風合いを保ちながら、印刷が綺麗にできる紙です。コーティングは厚くするほど綺麗に印刷できますが、紙の風合いは隠れていきます。
「ラフな紙の質感を生かしながら、でもにじまず綺麗に印刷したい」なんていう場合には、風合いを消さない程度のコーティングを施した微塗工紙が活躍します。もちろんコート紙やアート紙には及びませんが、色が沈んでしまいがちなラフで吸収性の良い紙でも美しい印刷が可能になります。

ダルコート(ダルアート)紙は、紙そのものはマットな質感を持ちながら写真や画像の部分にはグロスの光沢が出る紙です。つまり、印刷したところだけ、光沢が出る紙です。雑誌などで「写真はツヤを出して綺麗に見せたいけど、ツヤツヤの紙だと文章が光って読みづらい」という問題を解決してくれるのがダルコート紙なんですね。

これら中間ジャンルの紙は、半端というよりふたつの条件のせめぎ合いをギリギリのところで両立させる器用さを持っています。

一般印刷用紙も選び方はケースバイケース。紙質が、雑誌や書籍の「色」をさりげなく主張していると言っても過言ではない……かも?

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今週のピックアップ紙『OKトリニティNaVi』

王子製紙のダルコート紙。同社グロスコート紙「OKトリニティ」のダルバージョンです。初めてこの紙を見たときはけっこう衝撃だったのですが、紙自体はマット調。しかし、インキの乗ったところがグロスコートに負けないほどのツヤツヤの光沢。ここまでコントラストのあるダルコート紙はあまりないと思います。

白色度と不透明度も高く、開発した人の心意気を感じる紙ですね。ちなみにNaViとはName(文字)とVisualの略だそうです。

コート紙のなかで(お値段的にも)イイ紙なので、品質重視の雑誌・ムックや、情報量の多いカタログ向きかなと思います。

→参考情報
http://www.ojigroup.net/product/ojprd_show.php?prdnum=OSY018


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