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野口哲と思想書のハマり方のお話(後編)
(前回参照→ http://yohaku.biz/mmgwp/?p=41)
思想系読書はおすすめです。頭の健康には非常に良いですよー。
__あ、ちょっと、私の前振りの前に喋んないで。今回も引き続き野口哲(さと氏)と思想系読書の話です。前回、家に人文書が増え続ける理由はなんとなく解ったけど、さと氏がよく言ってる「思想・批評が役に立つ」シーンについてはイマイチよく分かんないまま。肝心の思想系読書のさと氏的お役立ちポイントを教えてほしいんだけど。__
当然ですが思想系読書は日本語を鍛えます。思想・批評って難しい。初めて見たときには、そりゃ外国語のように思えます。一言ですむようなことを「あーでもない、こーでもない」と難解な用語でこねくり回すので。
それでね、読み始めるとしんどくて何度かいやになってしまうんだ。
__んあ、嫌なの? じゃあ読まなきゃ良いんじゃ……__
それがね、ナゼ読み続けたのかは分からない。いつも家に居たからすることが無くなってしまったのかも。本だけは家にいっぱいあったから。あとは猫と遊ぶくらいだったし(野口実家は猫屋敷です)。
ただ何冊も捲っていくうちに、あるタイミングで発見をすることになりました。思想系読書にはどの書物にも共通する秘密のコードがあったんだよね。ふふふー。
___本の話だと本当楽しそうね君わ。秘密のコード? 暗号?__
共通のカギ。なぜなら僕の手元にあった本は文芸批評と学生運動で流行った書物。文芸批評は明治期から海外の概念を「輸入」して、ローカライズ=翻訳することで日本語の質を鍛え上げてきました。要は追いつけ追い越せと。
学生運動の頃に流行った概念は全てフランス産まれ。文壇のエライ方々が頑張って舶来品の思想を翻訳してくれたわけ。つまりは出自が似ています。祖先も似ています。なので、根っこの部分を押さえてしまえば内田樹さんが著作で言及されているように「エライ人の言っていることはだいたい同じ」になってきて。
__そのだいたい同じところがコードだったんだ。__
そう。これが自分でも使えるようになると便利。なんせ少し変奏&肉付けするだけで「エライ人の言ってそうなこと」はだいたい再現できます。とっさの言い訳にもつかえるわけです。
さらに、概念が翻訳される過程を延々とトレースし続けることになるので先人と同じ型が自分の中に身に付きます。彼らと同じ文法・コードで物事を組み立て考えるようになる。様々な分野をゴッチャにしても綺麗に整理できるんだね。
__それ良いのか悪いのかわかんないね^^; さと氏は「読書は空手の型を身につけるのと同じ」って言うけど、こういうことか。__
そういうことです。この秘密のコード探しが宝探しみたいでおもしろかった。茂木健一郎の「アハ」ってやつですね。
見つけた途端に本の世界が急に面白くなった感覚は、今も覚えてる。残念なのは、本当に賢いひとたちが沢山あつまって、一生懸命考え抜いて作り上げてきたコード体系なのに、忘れ去られて消滅しようとしてる。ああ、もったいない。
__そもそも学生運動の闘争イメージが先行して、時代ごと忘れようとしているってのもあるかも知れないね。暴力の裏で思想が発展していたことは、ウチらの世代にはあまり引き継がれてないし。__
これは日本の経済学史にも言えます。
第二次大戦中に世界から隔絶されていたので、経済学者達は延々と経済学の歴史研究をしていたんだね。頭の良い人々がそればっかり集中したから日本経済学史のレベルは驚異的な水準に上がったのです。
大学では経済学部に進学したこともあり偶然ゼミが経済学史だったこともあり子どもの頃の体験を専門的に研究することになりました。世界中の経済理論を、日本に存在しなかった概念をローカライズしてきた先人の知恵を学ぶことになったので。
__あ、で、具体的に役立ってるとこってどうなの? これじゃあさと氏理論に巻き込まれるいつものパターンで終わってしまう!__
まぁ、ありきたりだけど投資に役立ってるかな。あとは理解不能な状況をバリバリ噛み砕く力かな?相場ってわけがわからないからね。それを自分なりに一部分でも翻訳して仮説を立てて失敗して再挑戦して。もし小さい頃に古典を読まなかったら投資会社で働くこともなかったかもしれないね。
__うーん、オチたようなオチないような。まあ、このコーナーは野口尚コが周りの変な……もとい素敵な方々とコアな世間話をするところですので、いいか。次週から2回は、feng feel design の阪口さんとロングトークですよ。今回も充分長いけど!__
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