紙05『新◯◯紙の「新」』の話

4月 9th, 2009

様々な紙を見ていらっしゃる方は、紙見本やショップで見たことがあるかも知れません。和紙っぽい特殊紙によくある「新◯◯紙」という名前。

新大礼紙、新鳥の子紙、新バフン紙、新だん紙、新楮紙……。

「新=リニューアル?」と思っていたのですが、大礼紙や鳥の子紙など新がつかないものも存在していますし、新しい……といっても1970年代から「新」がついているものも。

実はこの「新」には「機械漉き」の意味があるのです。

和紙の製造は、未だに紙漉き職人が手で漉いているものから、抄紙機を使った(半)機械漉き、完全に機械を使用した機械漉きなどがあります。
このうち、すべて手漉きで漉かれているものを「本◯◯紙」と呼び、全て機械漉きで製造するものを「新◯◯紙」と呼ぶんですね。何も付いていないものは、抄紙機などを使いつつも手漉きに近い工程と原料で生産されているものです。「新」と付いている特殊紙がほとんど和様の紙なのも頷けます。

そして「新◯◯紙」は、もととなる◯◯紙の「イメージを再現して」機械で量産できるようにした紙です。実際の◯◯紙と新◯◯紙は、全く別モノと考えても良いくらいの違いがあります。

そもそも「和紙」とはなんぞや、と改めて調べてみると、本来は楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)など木の外皮に近い部分にある靭皮繊維を漉いた紙のことなのだそうで。これらの繊維は強靭で、和紙が薄くても丈夫なのは、こうした原料のおかげなんですね。
しかし靭皮繊維は取れる量が少なく、量産する機械では扱いづらいため、機械漉きで木材パルプなどで生産した「和紙の風合いをもつ紙」も、和紙と呼んでいるのが現状です。

そのカテゴリでいけば、まさに新◯◯紙は「和紙の風合いをもつ紙」なので、狭く言えば和紙ではなく、質感も手漉きのものより弾力や滑らかさが少なくパリパリとしているものが多いようです。

もちろん機械漉きの和紙は手漉きに比べて安価ですし、印刷機にも通しやすく作られているため「純粋な手漉き和紙だから良い」わけではありません。版画作品に使う場合などは、手漉き和紙の質感が重宝されますし、印刷物には機械漉き和紙の方が適している場合もあります。逆に手漉き和紙に印刷するならば、活版印刷やハガキの印刷に使う小型のオフセット機を使った方が良いと思います。

よく見かける和紙の便箋も、手漉き和紙は筆書きには良いのですがボールペンや鉛筆だと毛羽立ってしまいますし、消しゴムかけたら表面がバッサバサになってしまうものも。機械漉きならばパルプでできているため表面が強く、先の固い筆記具でも綺麗に書けます。
(紙自体の柔軟性・強度と表面の強度は別なのでややこしいですが……)

ここぞという折のお手紙には、手漉き和紙を使って「筆書き」で!
冊子や大判の印刷で和紙っぽくしたいと思ったら新◯◯紙で!

不思議ですが、便せんや名刺、封筒など身の回りで使うものの紙を自分で選んでみたり、その紙について知っていることが増えると「たかが紙一枚」で随分と姿勢の変わるものです。紙を知ることが、紙を楽しむことに繋がればなあと考えています。

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今週のピックアップ紙『新鳥の子』

「新鳥の子紙」は、和紙の鳥の子紙を再現した紙です。

もとの鳥の子紙は古くから主に越前で作られていた和紙で、紙色が淡いクリーム色で滑らかな質感が鶏卵をイメージさせるため、この名前がついたようです。鳥の子ってヒヨコじゃなくて卵なんですね。でも羽毛のような柔らかさも兼ね備えた紙です。版画用紙や書画に使われるほか、インテリアでも「ふすまがみ」として有名な紙です。

新鳥の子紙も廉価なふすまがみとして使われるほか、版画の試刷り、一般印刷も可能です。色も、白・うすクリーム・古染など数種類が流通しています(手漉きの鳥の子紙は基本的にクリーム色のみです)。和様特殊紙にありがちな凹凸のクセがなく、和紙らしさは出るので使い勝手の良い紙だと思います。

機械漉き和紙ながら奇を衒わない素直なつくり、かつ出来の良さは、インテリア需要の中でブラッシュアップされてきたのじゃないかなと想像します。

http://www.takeo.co.jp/cgi-bin/site/mdse/search/details.php?d_id=193


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